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法定相続分と遺留分の違いについて

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相続分については、被相続人の意思を尊重するという観点から、原則として、被相続人の意思によることとされており、これにより定められた相続分を指定相続分といいます。これは遺言によりされなければならないこととされています(民法902条1項)。そして、遺言による相続分の指定がなかった場合には、相続人間の公平を図るために、法定相続分というものがあります。これは、民法900条に規定があるもので、例えば、相続人が配偶者と子であるときには、相続分は各二分の一とするとされています(民法900条1号)。このような法定相続分に従って遺産分割をした場合には、不動産について相続人間で共有するということも考えられます。その場合、例えば前述のように相続人が子と配偶者の場合には、ある不動産についても二分の一の共有持分権を有するということが考えられます。

これに対し、遺留分とは、一定の相続人に留保された相続財産の一定の割合であり、被相続人の生前処分または死因処分によって奪うことのできないものをいいます。これは、本来は、被相続人がその財産を生前にどのように処分し、あるいは死後の帰属をどう定めようと自由なはずですが、被相続人の財産に依存していたものに対する生活保障や、被相続人の財産の形成に貢献したものの潜在的持ち分を顕在化させる必要性などから、被相続人が自由に処分できる財産の割合に制限を設けたものです。

遺留分を有する遺留分権利者は、兄弟姉妹以外の相続人となります。すなわち、子、直系尊属、配偶者となり、子の場合は代襲相続人を含みます(民法1028条)。遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1で(民法1028条1号)、その他の場合、被相続人の財産の2分の1です(民法1028条2号)。これは、遺留分権利者の員数にかかわらず認められる、総体的遺留分といいます。遺留分権利者が2人以上いる場合は、1044条が準用する900条の法定相続分で算定します。これは、個別的遺留分といいます。

遺留分について侵害があった場合には、遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈および贈与の減殺を請求することができます(民法1031条)。遺留分減殺請求権は、減殺の意思表示により直ちに遺贈・贈与は当然に効力を失い、遺留分権利者に目的物の権利が帰属するという強力な性質が判例上認められていますが、その代わりに、民法1042条による期間制限が課されています。そのため、遺留分が侵害されていないかなどを、速やかに確認する必要があります。

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