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成年後見制度のメリット・デメリットについて! 法定後見と任意後見の違いもチェック

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判断能力低下に伴う危険性をできるだけ取り除くには、成年後見制度の利用を検討することが重要といえます。とはいえ常に「誰しも利用すべき制度だ」ということもできません。

利用にあたっては仕組みをよく理解し、どのようなメリットが得られるのか、逆にどんなデメリットがあるのか、こうした特徴を把握しておく必要があります。当記事で解説をしていますので、認知症等への不安を持っている方はぜひ参考にしてください。

 

成年後見制度の概要

成年後見制度とは、判断能力が不十分になった方が不利益を受けないよう、法的にその方の援助をする制度です。

認知症患者は昨今増加しており社会的な問題にもなっていますが、認知症についての種々の問題には判断能力の低下が関わっています。他にも知的障害や精神障害などが原因で、法律行為における判断が適切にできなくなるケースもあります。
自ら散財してしまうリスク、詐欺被害に遭うリスク、判断力の衰えは様々な危険を伴うことから、成年後見制度による保護が注目されているのです。

なお、成年後見制度には次の表のように法定後見と任意後見の2種類があり、それぞれ利用のタイミングや援助の内容に違いがあります。

 

 

法定後見

任意後見

概要

すでに精神上の障害があるときに利用する制度。障害の程度によりさらに①後見、②保佐、③補助に分かれる。

将来への備えとして、本人が援助者や援助内容を契約で定めておく場合の成年後見。

利用時期

判断能力が低下してから手続を始める。

判断能力が低下する前から手続を始める。

手続方法

家族などが家庭裁判所に対して後見人等の選任を申し立てる。

※補助の場合は本人の同意が必要。

公証人役場で公正証書を作成し、判断能力が衰えてから家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる。

※任意後見人だけでなく任意後見監督人が必須。

費用

申し立ての際に収入印紙代800円~2,400円のほか、切手代や登記手数料として数千円が必要になる。

※家庭裁判所の求めに応じて鑑定費用10万円前後も発生。

家庭裁判所への申し立ての際にかかる費用のほか、契約書を作成するときの公正証書作成手数料等11,000円~ が発生する。

 

成年後見制度のメリット

成年後見制度全般に共通するメリットとしては、次の点が挙げられます。

  • 後見人等による本人の財産管理や身上監護ができる
    → 後見人等には代理権や同意権などが与えられて、判断能力が低下した本人の財産や権利を守ることが法的に認められる。
  • 本人が詐欺被害に遭ってもそのときの契約を取り消せる
    → 後見人等が取消権を行使することで、詐欺に遭ってからでも財産を守ることができる。
  • 家庭裁判所が関与して本人の生活を見守ってくれる
    → 家族や親族による事実行為としてのサポートではなく公的な制度である。後見人等に対するチェック機能もあり、また、後見についての登記がなされることで後見人等の地位も公的に証明できる。

ただ本人をサポートする人を決めるだけでなく、成年後見制度の運用を始めることで後見人等には法的に権利が与えられます。このときの財産管理や身上監護について、もう少し詳しく見ていきましょう。

財産管理・身上監護の効果について

成年後見制度のもっとも重要な役割は、後見人等による財産管理・身上監護にあります。具体的な行為例、どのような効果・メリットが得られるのかを以下にまとめました。

 

財産管理・身上監護の具体例と効果

経済的・精神的な生活基盤の立て直し

保険金や年金など手続が放置されていたものを申請することで、本人の経済的な基盤を整えることができる。

債務整理等を進めることで生活の立直しをすることができる。

疎遠になっていた家族や親族とも関係性を修復することができる。

後見人等がつくことで家族が安心できる。

生活基盤の確保

適切な介護サービスの利用を始めることができ、安全面・衛生面が確保される。

後見人等がサービス内容をチェックすることで介護施設等の不適切な対応を指摘することができる。

資産の有効活用ができ、有料老人ホームに入居が可能になる。

虐待の予防や救済

介護放棄からの保護・救済ができる。

親族による経済的虐待からの保護・救済ができる。

消費者被害など、事業者等による経済的虐待の予防ができる。

就学・就労等の機会の確保

就職や転職活動ができるようになる。

特別支援学校への入学手続を支援することができる。

趣味などの活動、外出機会を確保することができる。

 

このように、成年後見制度を利用することで得られるメリットは多岐にわたります。

 

成年後見制度のデメリット

成年後見制度を利用するのであれば、あらかじめデメリットについても把握しておきましょう。次の点には留意すべきです。

  • 職業に関する制限がかかる
    → 特定の職業に就くことが難しくなることもある。ただし法律上の要件は緩和されている(後述)。
  • 制度の利用にはコストがかかる
    → 申立て費用、後見人等への継続的な報酬の支払いが発生する。
  • 手続には時間と手間がかかる
    → 当事者間の契約だけで始めることはできず、家庭裁判所への申立てが必須。
  • 財産を自由に使うことができなくなる
    → 本人でも好きに財産を使うことができなくなる。ただし日用品の購入程度であれば本人が単独でできる。

法的に保護を図るためにも、保護対象となる本人には一定の規制がかけられてしまいます。ただ、職業に関わる「資格制限」については法改正により緩和されています。

資格制限について

かつて成年被後見人等については、法律上、資格制限が設けられていました。そのため弁護士や医師などの士業、特定の公務員などになれない状況にあったのです。

しかし「成年後見制度を利用しているというだけで一律に資格制限をかけるべきではない」との考えが広まり、資格制限に関わる多くの規定が見直されました。国家公務員法や自衛隊法、弁護士法、医師法、医療法、信用金庫法、貸金業法、建設業法・・・など様々な法律にて欠格条項が削除され、一律の規制ではなく個々の能力を審査して判断する方針へと変更されています。

この点においては、昔より成年後見制度を利用することのデメリットは小さくなったといえるでしょう。