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公正証書遺言作成の基本的な流れをわかりやすく解説

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遺言は、遺産の分け方を指定するための重要な手段です。
特に「公正証書遺言」は、公証人が関与して作成されるため、法的に強い形式とされています。
今回は、公正証書遺言を作成する具体的な流れをわかりやすく解説します。

 

そもそも公正証書とは

公正証書とは、公証人という法律の専門家が、個人・法人の依頼を受けて作成する公的な文書です。
公証人が内容を確認し、正確に作成したという裏付けがあるため、法的に強い証拠力が認められています。
たとえば、契約書などが公正証書として作成された場合、「その文書が本物であるかどうか」という点で争われにくくなります。

公正証書には、以下の3種類があります。

  • 契約に関する公正証書:不動産売買、賃貸借、金銭貸借、贈与、委任など、契約内容を明確にするために作成されるもの
  • 単独行為に関する公正証書:ひとりの意思表示を証明するためのもの
  • 事実実験公正証書:土地の境界確認など公証人が実際に見聞きした事実を記録するもの

公正証書遺言は、②の「単独行為に関する公正証書」に該当します。

 

公正証書遺言の特徴

公正証書遺言は、公証人役場で公証人が作成する遺言です。
遺言者が内容を口述し、公証人が文書にまとめたうえで、証人2人の立ち会いのもと作成されます。
特徴は以下の通りです。

  • 自筆証書遺言(自分で書くタイプの遺言)と異なり、書き間違いや様式不備の心配が少ない
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクが低い
  • 家庭裁判所の検認が不要なため、相続手続きがスムーズ

さまざまなリスクを避けつつ、遺言を確実に残したい場合によく選ばれます。

 

公正証書遺言の作成の流れ

公正証書遺言作成の流れは、以下の通りです。

  • 事前準備(遺言内容の整理)
  • 必要書類の準備
  • 証人の手配
  • 公証役場との打ち合わせ
  • 公正証書遺言の作成・署名押印
  • 作成後の保管・効力

それぞれ詳しく解説します。

①事前準備(遺言内容の整理)

まずは、どのような内容の遺言にするかを検討します。
財産の分け方、相続人の範囲、特定のひとへの遺贈、付言事項などを整理すると、公証人との打ち合わせがスムーズになります。
あらかじめ弁護士や司法書士などの専門家に相談し、内容が法的に問題ないか確認しておくのもおすすめです。

②必要書類の準備

公正証書による遺言を作成するには、本人確認書類に加えて、相続関係や財産の内容を証明する資料の提出が必要です。
遺言の内容を正確に反映させるためにも、必要な書類を漏れなく準備してください。

まずは遺言者本人の確認資料として、以下のいずれかを用意します。

【遺言者本人の確認資料】

  • 印鑑登録証明書と実印
  • 運転免許証と認印
  • マイナンバーカードと認印
  • 住基カード(写真付き)と認印
  • パスポート、障害者手帳、在留カードと認印

その他、遺言公正証書を作成する際は、以下の書類が必要です。

【相続人や受遺者に関する資料】

  • 遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本
  • 甥や姪など続柄が不明な場合は、関係性を示す追加の戸籍謄本
  • 受遺者の住民票や手紙、ハガキなどの住所が確認できる資料
  • 受遺者が法人の場合は登記事項証明書や代表者の資格証明書

【財産に関する資料】

  • 固定資産税納税通知書または評価証明書(不動産がある場合)
  • 登記事項証明書(不動産を遺言に具体的に記載する場合)
  • 預金口座の通帳またはそのコピー(口座情報を記載する場合)

【証人に関する資料】

  • 証人の氏名、住所、生年月日が確認できる書類(運転免許証のコピーなど)

【遺言執行者に関する資料】

  • 氏名、住所、生年月日がわかる住民票や運転免許証のコピーなど

状況によって必要な資料が変わるため、事前によく確認するのが重要です。

③証人の手配

公正証書遺言の作成には、2人以上の証人の立ち会いが必要です。
証人には以下のような制限があります。

  • 未成年者、公証人の配偶者、直系血族などは証人になれない
  • 利害関係者(相続人や受遺者)も証人になれない

証人は自分で手配するか、公証役場に依頼して用意してもらうかのどちらかの方法があります(後者の場合は別途費用がかかります)。

④公証役場との打ち合わせ

準備が整ったら、公証役場に連絡して遺言作成の予約を取ります。
遺言の草案をもとに、公証人と事前に打ち合わせを行い、内容を確認・調整します。
公証人からは、法的に不備がないか、実現可能な内容かどうかなどのアドバイスも受けられます。

⑤公正証書遺言の作成・署名押印

予約した日時に公証役場へ出向き、公証人の前で内容を口述します。
公証人が文書を読み上げ、内容に誤りがなければ、遺言者と証人が署名押印して作成完了です。
なお、病気や高齢などで公証役場に行けない場合は、自宅や病院などへの出張にも対応してもらえます(出張費が必要)。

⑥作成後の保管・効力

作成した公正証書遺言の原本は、公証役場で保管されます。
遺言者や代理人は、正本・謄本を受け取れます。
なお公正証書遺言は、家庭裁判所での検認が不要です。
たとえば自筆証書遺言の場合、その内容を実現する前に、検認という別の手続きを家庭裁判所で進める必要があります。
しかし公正証書遺言の場合は、遺言の存在さえ確認できれば、そのまま相続手続きに使えます。

 

まとめ

公正証書遺言は、トラブル防止や相続手続きの簡略化に役立ちます。
大切な財産を円滑に引き継ぐために、早めに準備するのが理想的です。
作成に不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。