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任意整理から個人再生への切り替えは可能か?条件や注意点などもあわせて解説

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債務整理の方法として任意整理を選択したものの、状況の変化により個人再生への切り替えを検討されている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、任意整理から個人再生への切り替えが可能なのか、その条件や望ましいケース、注意点について詳しく解説します。

任意整理から個人再生に切り替えることは可能なのか?

法律上、任意整理から個人再生への手続きに切り替えることを禁止する条文はないため、切り替えることは認められます。
債権者との和解が成立する前でも、返済を進めている最中でも、手続きの変更が可能です。
ただし、個人再生の申し立てには収入などの条件を満たすことが必要です。
さらに、任意整理から個人再生に切り替えることで不利益が生じる可能性もありますので、手続きの変更を検討する際は慎重な判断が求められます。

任意整理から個人再生に切り替えるための条件とは

任意整理から個人再生へ切り替えるためには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか?
以下では、切り替えるための条件について解説します。

任意整理から個人再生に切り替えるための条件

任意整理から個人再生へ手続きを移行するには、主に以下の条件を満たす必要があります。

  • 安定した定期収入がある
  • 総額が5,000万円以下の借金である

給与所得者は収入の変動が小さいことも条件です。
任意整理から個人再生への切り替えには、裁判所に認めてもらう必要があるので、審査では毎月の返済を継続できる意志の強さと誠実な返済姿勢を見せることが重要です。

 

任意整理から個人再生への切り替えが望ましいケースについて

ここからは、任意整理から個人再生に切り替えることが望ましいケースについて見ていきましょう。
以下のようなケースでは、任意整理から個人再生への手続き変更を検討しましょう。

想定を超える借金が判明したケース

債権調査の過程で予想以上の借金が発覚することがあります。
任意整理では、利息のカットや毎月の返済額の調整が主な対応策となるため、借金の総額を減らすことは困難です。

当初の想定内であれば返済できる見込みでも、予想を上回る借金が見つかった場合は返済が難しくなるケースがあります。
このような状況では、返済計画の実現可能性を高めるため、債権調査の結果を踏まえて個人再生への手続き変更を検討することが賢明な選択肢となります。

債権者との交渉が難航するケース

任意整理では、債権者と債務者の合意形成が必要です。
しかし、交渉によっては、債権者と債務者の合意形成が難しいことがあります。
債権者には和解に応じる義務がないため、弁護士による交渉が行き詰まり、裁判になるリスクが生じる可能性があります。

債務者側が提案する和解案が受け入れられず、交渉が進展しない状況では、新たな解決策を検討しなくてはいけません。
このような場合、裁判所の監督のもとで進められる個人再生への切り替えが、有効な選択肢となります。

任意整理後に収入が減少することで返済が困難になったケース

任意整理で合意が成立した後も、予期せぬ状況が発生することがあります。
返済期間中の転職や経済状況の変化により収入が減少し、当初の返済計画を続けることが困難になるケースです。

通常、借金の完済までには数年の期間が必要となりますが、その間に給与が下がることも珍しくありません。
月々の返済が厳しくなった場合は、個人再生への切り替えを検討することで、新しい返済計画を立てることが可能です。

任意整理から個人再生に切り替える際に注意するポイント

任意整理から個人再生への切り替えを検討する際には、手続きを進めていく際に注意すべきポイントがあります。
以下では、その注意すべきポイントについて詳しく見ていきましょう。

連帯保証人の場合には主債務者に影響が出る可能性がある

個人再生では、任意整理と異なり、すべての借金が手続きの対象です。
連帯保証人として負っている債務も対象となるため、主債務者への影響を慎重に検討する必要があります。

連帯保証人は主債務者と同等の返済責任を負っており、法律上は連帯保証債務という形で借金を抱えている状態です。
個人再生によってこの連帯保証債務が減額されると、ローン契約に影響が及ぶ可能性があります。
多くの金融機関は連帯保証を条件に分割返済を認めているため、主債務者に一括での返済を求めるケースかもしれません。

このような影響は契約内容や金融機関の判断により変わってきます。
連帯保証人の方は、個人再生の申立前に主債務者への影響を確認し、必要に応じて事前に同意を得ることが必要です。

個人再生のための費用が追加で必要になる

借金の整理を任意整理で進めている際に、弁護士などに依頼している場合は依頼費用が発生します。
任意整理から個人再生に切り替えると、さらに新たな依頼費用を支払う必要があります。
債務整理の方法変更により追加の費用負担が発生するため、個人再生への切り替えを検討する際は、法律事務所に具体的な費用を確認するようにしましょう。

個人情報が官報に掲載される

個人再生手続きを行った場合、国の発行する機関誌である官報に氏名や住所が公開されます。
個人再生の情報は官報に掲載されることが法律で定められていますが、官報の閲覧は主に役所や図書館に限られています。
一般の方が官報を目にする機会はほとんどないため、個人再生の事実が周囲に知られる心配は極めて少ないでしょう。
ただし、このような公告制度があることを理解しておきましょう。

まとめ

法律に定めがないため、任意整理から個人再生への切り替えは可能です。
ただし、安定した収入があることや、借金総額が5,000万円以下であることなどの条件を満たす必要があります。
借金額が想定以上だった場合や、債権者との交渉が難航した場合などは、切り替えを検討しても良いでしょう。
手続きの変更は慎重な判断が必要となりますので、まずは弁護士への相談をおすすめします。